
上昇する電力消費
システム、自動車、家庭用電化製品、携帯用電子機器、およびIoTへの新たな接続におけるエネルギー効率需要の増加は、パワー半導体デバイスの進歩を促進し続けており、その需要は年々記録的な高水準となっています。
その結果、世界中の企業やファウンドリは、研究開発、高性能デバイス製造、および一般的な大量生産の試験キャパシティを拡大しています。エンドユーザーデバイスのコストを下げ、アプリケーション性能のニーズの高まりを支えるため、次世代のパワーデバイスが急ピッチで開発されています。
業界レポートによると、2017年のパワーエレクトロニクスにおけるパワーデバイスの68%が低電圧アプリケーション(900 V未満)用でした。 大幅な成長が起きている、パワーデバイスの残りの部分(32%)は、中電圧(1~1.9 kV)、高電圧(2~3.3 kV)、超高電圧(3.3 kV超)の電圧用途に分かれています。*
電気自動車と輸送は、パワー半導体デバイス/モジュールの使用が拡大している2つの分野です。新たな信頼性および性能仕様を満たすためには、高い温度(300~400℃)でより大きな電流処理(200~400 A)とより高い電圧(3.3~10 kV)が必要です。これには、広範囲にわたるR&Dデバイス特性評価と製造試験の開発が必要です。
エンジニアが直面する重要な課題は、インパッケージではなくオンウェーハで試験することです。フォームファクターは、オンウェーハパワー半導体試験においてすでに重要な役割を果たしています
新しい時代に向けた新素材
現在、パワー半導体の98.7%がシリコン基板素材を使用して製造されています。しかしながら、シリコンからワイドバンドギャップ基板素材(GaNやSic)への移行が進められており、それによりパワー半導体性能の著しい向上が見込まれます。今後4から5年間で、これらの素材の使用は最大で3.9%(17億ドル)増加すると予測されています。*
一般に、SiCやGaNを使用したハイパワー半導体は、より高い温度とより高い効率で動作できます。具体的には、GaNに関する研究開発は高速のスイッチングに関して、またSiCは高温用途に関して興味深いものです。高い温度をサポートできるデバイスは、電気自動車などにおいて、信頼性を高めることを可能にします。高速スイッチングをサポートできるデバイスでは、エネルギー損失を抑えることができます。GaNおよびSiCベースのデバイスは、シリコンベースのデバイスよりも小型化が可能性があり、より小さなパッケージングで消費者製品に搭載できます。
GaNおよびSiCパワー半導体(水平構造および垂直構造)のオンウェーハ試験方法はシリコンデバイス向けのものに似ていますが、これらの新しいワイドバンドギャップデバイスには、試験機能の拡張が必要です。

* 出典:『Power GaN report』、Yole Développement、2018年

試験の複雑さを単純化する必要がある場合
パワー半導体デバイスは通常、パワー電子回路内のスイッチまたは整流器として使用されます。これらは一般にパワーデバイス、パワーIC、パワーモジュールと呼ばれます。一般的なパワーデバイスには、パワーダイオード、パワーMOSFET、IGBT (Insulated Gate Bipolar Transistor)などが含まれています。
エンジニアや設計者が次世代デバイスを開発しているとき、試験の間に重要なパラメータを収集する必要があります。これには、パワー半導体の次のパラメータがあります。
- 降伏電圧
- 高電圧時の低リーク
- 大電流のオン抵抗RDS (on)*
- スイッチングの立ち上がり時間と立ち下がり時間
- 安全動作領域(熱放散および「ラッチアップ」)
- 熱抵抗
しかし、インパッケージではなくオンウェーハでシリコンおよび最新のGaN/SiCデバイスを試験する場合、R&Dエンジニアと試験オペレータは、高精度のデータを収集するためにいくつかの大きな課題に直面します。これには、高電圧でのプローブおよびシステムのアーク放電防止、大電流用の低抵抗プローブおよびウェーハ接点、ならびに薄型ウェーハの特別なハンドリングの必要性が含まれます。同時に、「正確なデータの迅速な取得」というニーズには、複雑で大電力の試験構成の迅速かつ容易なセットアップが必要です。そして、オペレータと機器の安全性を念頭に置く必要があります。
*「RDS (on)」は、MOSFETの「ドレインソースオン抵抗」を表します。
課題
高電圧のアーク放電防止
通常、オンウェーハで高電圧を測定するとき、プローブ針の間に放電(アーク放電)が起こります。これは、DUT (試験対象デバイス)と隣接するデバイス(垂直レイアウト)または他の試験パッド(水平レイアウト)との間でも発生します。さらに、1000Vを超える電圧では、ウェーハチャックと周囲のプローブステーションとの間にアーク放電が発生する可能性があります。
プローブとデバイス間の低い接触抵抗
正確な大電流測定を実現するためのもう1つの重要な課題は、プローブとデバイスの間の接触抵抗をできるだけ低く抑えることです。これにより、デバイスの完全な性能を、インパッケージ性能と完全に相関させて、オンウェーハで測定することができます。これにより、最終的なエンドアプリケーションパワーモジュール向けの既知の良品ダイを使用することで、大幅にコストを削減できます。
ウェーハとチャック間の均一性が高い、低接触抵抗と熱抵抗
ウェーハ上のすべてのデバイスについて正確なデータを得るには、ウェーハの裏面とチャック上面との間の物理的接触を均一にすることが重要です。まず、これにより、ウェーハ上のデバイスの位置にかかわらず、デバイスで発生する熱が確実に各デバイスから散逸することで、熱誤差が減少します。また、チャックが電気接点の1つとして機能する垂直デバイス(IGBTなど)の場合、これにより超低接触抵抗が可能になります。これは、RDS(on)の非ケルビン試験の抵抗誤差を克服するための重要なニーズです。両方の課題が解決された場合にのみ、各デバイスの最大性能が試験データとして得られます。
回路設計者のための正確なデバイスモデル
デバイス特性評価エンジニアにとっての課題は、高電圧/大電流と正確な低リーク性能の両方を測定して、完全なデバイスモデルを作成することです。これは、回路設計者がパワーICの設計を最適化して、商品価値を最大化するのに役立ちます。動作していないときの高電圧/電流スイッチングとデバイスの消費電力のバランスをとること(オフ状態リーク)が、この作業の主な焦点です。
フォームファクターは、主要なデバイスメーカーと協力してこれらの測定上の課題を解決し、正確なデータと試験コストの削減のための、保証されたソリューションで業界をリードし続けています。
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TESLA200は、オペレータの高い安全性を確保しつつ、正確な高電圧および大電流測定データの収集を可能にします。できる限り迅速なR&D、デバイス特性評価/モデル化、ニッチ生産のために、単一または大量の薄型ウェーハに対して試験を実行できます。
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複数のアーク放電防止技術により、最大10,000V DCの優れたデバイス保護で高電圧試験性能を実現します。さらに、600Aまでのクラス最高の大電流測定のために、非常に低い接触抵抗/熱抵抗素材とテクノロジがオンウェーハシステムに統合されています。
このソリューションは、広範囲の高電圧および大電流プローブと、アーク放電防止プローブカードで完成します。エンジニアリングおよび製造試験用のハイパワー試験装置がサポートされています。
正確なデータを最短の時間で得るために、マニュアル、セミオート、フルオートバージョンが利用可能です。

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